商品のアイデアを説明したら「いいですね」と言ってもらえた。それでも、実際に選んでもらえるかはまだ分かりません。顧客ヒアリングでは、提案への賛成を集めるだけでなく、相手がどんな状況で何に困り、どう対処しているかを具体的に聞いてみましょう。
聞く前に、確かめたいことを一つ決める
一度の面談で価格、使い勝手、広告、ブランドの印象をすべて聞こうとすると、話が広がりすぎます。例えば「購入前に比較で迷う点を知る」のように、今回の目的を絞ります。質問は目的に合わせて準備しつつ、回答に応じて具体例を尋ねられる余地も残します。
参加者は、確認したい状況を実際に経験した人から探します。購入者だけに聞けば、購入しなかった理由は捉えにくくなります。一方で、少人数に聞いた声を顧客全体の意見として扱わないようにしてください。
最近の出来事を、順番にたどる
「普段どうしていますか」と聞くだけでなく、「最後にその作業をしたときのことを教えてください」と具体的な出来事を尋ねます。いつ、何がきっかけで、何を試し、どこで困ったのかを順番に確認します。
| 確認したいこと | 質問例 |
|---|---|
| きっかけ | 探し始めたのは、どんなことがあったからですか |
| 比較 | ほかに何を候補にしましたか |
| 迷った点 | 決める前に、どの情報を確認しましたか |
| 現在の対処 | 今は、その不便にどう対応していますか |
質問例は会話の入口です。すべてを順番通りに読み上げる必要はありません。相手が答えたくない内容を無理に聞かず、目的に不要な個人情報も集めないようにします。
期待する答えを、質問に入れない
「操作が簡単な方が便利ですよね」と聞くと、相手が同意しやすい形になります。「操作で迷った場面はありましたか。なければ、その点も教えてください」と、困っていない可能性も含めて聞いてみます。
相手の説明が想定と違っても、すぐに商品の良さを説明して説得しないことが大切です。「そう感じたのはどの場面ですか」と背景を確認します。アイデアを見せる場合も、先に現在の行動を聞く時間と、見せた後の反応を聞く時間を分けると整理しやすくなります。
発言・観察・自分の解釈を分けて記録する
例えば「比較表を何度も開いた」という発言と、「違いが分かりにくいのではないか」という解釈は別です。前者を記録し、後者は仮説として残します。印象的な一言だけを取り出すと、話された状況を見失うことがあります。
録音する場合は、目的、利用範囲、保管方法を説明し、事前に相手の了解を得ます。記録は必要な人が扱う範囲にとどめ、外部で紹介する場合は、本人が特定される内容や利用許諾を改めて確認してください。
聞いた内容を、小さな確認に変える
複数の話に共通する困りごとがあれば、どんな場面で起きるかをまとめます。例えば比較情報が不足していそうなら、比較表の試作を見てもらい、必要な違いを読み取れるかを確認します。これは進め方の例であり、インタビューだけで販売増を予測するものではありません。
次の一回では、質問を増やすより「最近の具体的な経験を聞く」「発言と解釈を分ける」の二つを試してみましょう。相手の言葉を、そのまま要望一覧にするのではなく、背景にある状況を理解する材料として扱うことが、改善を考える土台になります。
発言を施策に変える前の整理シート
面談後にすぐ機能追加を決めず、確認できたことと仮説を分けます。記録は必要な範囲にとどめ、個人が特定できる情報の扱いに注意してください。
聞いた相手の利用状況: 最近の具体的な出来事: 発言・観察した行動: 自分の解釈: 別の説明の可能性: 次に確かめること:
記入・判断の例
架空の例で「比較表を三回開いた」という発言から「情報不足」と解釈したとします。しかし、家族と相談するために開き直した可能性もあります。「開き直したとき、何を確かめましたか」と追加で聞くと、別の理由を切り分けられます。
見直すときの判断
比較表の試作を見せるなら、好きかどうかだけでなく、必要な違いを読み取れるかを確かめます。少人数の声は課題の発見に使い、市場全体で何%が困っているかを示す数字とは区別します。
記入欄と説明例はHumsで作成した編集上の提案です。実在する個人・企業の実績ではありません。